日本株はなぜ7月まで強いと言われるのかを需給から初心者向けに解説する記事のアイキャッチ

2026年6月1日、日経平均株価は前日比604円高の6万6,934円で取引を終え、史上最高値を更新しました。先週末に初めて6万6,000円台へ乗せたあとも上昇が続き、勢いが際立っています。

この時期になると、決まって出てくる話があります。「日本株は6月から7月にかけて強いらしい」というやつです。

僕は投資歴10年になりますが、最初は「なんとなく夏は強いらしい」くらいの理解でした。でも理由を分解してみると、けっこうハッキリした仕組みがあります。

この記事では、「なぜ6〜7月の日本株が強いと言われるのか」を、ふわっとした雰囲気ではなく需給(じゅきゅう)の仕組みで説明します。そのうえで、初心者が新NISAでこの局面とどう付き合うべきかまで、正直に書きます。

数字は2026年6月時点のものです。

結論:「買いが増えて、売りが減る」から

先に結論を言います。6〜7月が強いと言われる正体は、需給です。

需給というのは、買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスのこと。買いたい人が増えて、売りたい人が減れば、株価は上がりやすくなります。シンプルな話です。

6〜7月は、この両方が同時に起きやすい時期だと僕は見ています。

  • 買い手が増える理由 → 6月に支払われる配当(10兆円規模)が、また株に投資される
  • 売り手が減る理由 → 3月末に集中した期末の売りが一巡し、6月の株主総会で先行きの不透明感も晴れる

この「買い増し・売り減り」が重なる。だから下支えされやすい。これがすべての土台です。順番に中身を見ていきます。

買い手が増える理由①:配当10兆円の「再投資マネー」

配当再投資マネーの流れ|3月権利確定から6月の配当支払い10兆円が株に戻る図解

日本の会社の多くは3月末に決算を迎えます。3月末時点で株を持っていた株主には、配当金が支払われます。

この配当が、いま過去最高の規模です。上場企業の配当総額は、2026年3月期に初めて20兆円を超える見通しとされています。5年連続で過去最高を更新するペースです。

そのうち、5月下旬から6月末にかけて実際に支払われる分が「10兆円規模」と試算されています。かなり大きな現金が、この時期に投資家の口座へ流れ込むわけです。

ポイントは、受け取った配当の一部が、ふたたび株を買うお金に回ること。これを「再投資マネー」と呼びます。

投資信託は「自動で」買い直す

ここが地味だけど大事なところです。

投資信託やETFには、受け取った分配金を現金で受け取らず、同じファンドを自動で買い増す「再投資型」という仕組みがあります。

つまり、あなたが何も操作しなくても、ファンドに入ってきた配当が機械的に株の買いに回る。相場が高いとか安いとか関係なく、入った配当はそのまま買いに向かいます。

個人が「配当もらったしまた買うか」と動くだけでなく、投信という大きな器が自動で買い直す。この機械的な買いが積み重なるので、6〜7月は需給が構造的に買い方向へ傾きやすいわけです。

お金が動くタイミング

配当の流れを時系列で見ると、こうなります。

  • 3月末:株を持っていた人に配当を出すことが確定(権利確定)
  • 5月下旬〜6月:実際に配当が支払われる(取締役会で決める会社は早め、株主総会で決める会社は6月下旬)
  • 6月後半〜7月:受け取った現金の一部が再投資に回る

最近は株主総会を待たず、配当を前倒しで払う会社も増えています。だから6月にお金が動きやすくなっている。これが「6〜7月の下支え」の物理的な裏付けです。

売り手が減る理由②:期末の売りが一巡+総会通過

3月決算の会社にまつわる売りは、年度末の3月から4月に集中します。配当や株主優待の権利を取ったあとに売る人、節税のために売る人、決算対策で売る機関投資家。こうした売りは春に出尽くします。

6〜7月は、この売りのラウンドを通過したあと。季節的な売り圧力が薄くなる時期です。

さらに6月は株主総会のシーズン。3月決算の会社の総会がここに集中します。総会で配当額や自社株買い、中期的な経営計画が確定すると、「まだ決まっていないことへの様子見売り」が減ります。

つまり、需要(配当の再投資)が増えるのと同時に、供給(期末売り・様子見売り)が減る。買い手増と売り手減が6〜7月に重なる。これが下支えの正体です。

海外マネーは「春に買って夏に引く」

Sell in Mayの意味と日本株での当てはまり|海外勢は春に買い夏に引く季節性

株の世界には「Sell in May(5月に売って秋まで休め)」という有名な格言があります。欧米の投資家が夏に長期休暇へ入り、市場が薄商いになりやすい、という経験則です。

日本株は売買のおよそ6割を海外投資家が占めるので、彼らが夏に引くと、商いが細って動きづらくなります。

ただ、海外勢の売買には季節のクセがあります。過去のデータを見ると、海外投資家が日本株を最も買い越すのは春(4月)で、最も引くのが夏(8月)です。

実際、2026年も春は強い買いが続きました。海外勢は4月中旬から6月初めにかけて9週連続で買い越し、その額は累計で約3.9兆円にのぼりました。

ここで構図が見えてきます。海外勢が夏に向けて引いていく一方で、国内では6〜7月に配当の再投資マネー(10兆円規模)が流れ込む。海外勢の「夏休み」を、国内の配当マネーが下支えする。この綱引きが、夏前の日本株の特徴です。

データで見る「6月が本番、7月は余韻」

「強いと言われても、本当なの?」と思いますよね。過去のデータで確かめてみます。

日経平均の月別の成績を長期で見ると、6月は上昇した年の割合(勝率)が約66%、平均の上昇率はプラス0.67%でした。1年のなかでも上位の強さです。2000年以降に絞っても、6月の勝率は約65%と高い水準を保っています。

一方で、7月以降は勢いが鈍ります。7月の勝率は5割前後、8月から9月は1年で最も弱くなる傾向があります。

つまり正確に言うと、「6月が本番、7月はその余韻」というのが過去データの姿です。「7月まで強い」というより「6月に強く、7月にかけて徐々に失速していく」と捉えるほうが実態に近いと僕は見ています。

「Sell in May」を日本に当てはめた検証もあります。過去30年で、11月末から4月末まで持った場合の勝率は約72%。逆に4月末から10月末まで持った場合は約52%でした。やはり夏は相対的に分が悪い、というデータです。

ただし正直に言うと、ここ数年はこのクセが薄れています。直近7年は、本来弱いとされる夏の期間でもすべて上昇しました。アノマリー(経験則)は、永遠に効き続けるものではありません。「6月が強い」は今も生きていますが、「夏は弱い」は崩れつつある。そこは過信しないほうがいいと思います。

2026年ならではの「上乗せ」と「逆風」

日本株が強いと言われる理由と冷静に見たい注意点の比較|2026年の上乗せと逆風

ここまでは毎年の季節性の話。2026年はそこに、特有の材料が乗っています。

上乗せ材料は2つあります。

ひとつは、AI関連の投資ブーム。史上最高値を更新していく過程では、AI半導体や、スマホ・AIサーバーに不可欠な電子部品「MLCC(積層セラミックコンデンサ)」関連への買いが相場を押し上げました。

もうひとつは、海外マネーの象徴であるバフェット氏の動き。同氏のバークシャー・ハサウェイは日本の5大商社株をそれぞれ約10%保有し、2026年3月には東京海上ホールディングス株も新たに取得しました。世界一の投資家が日本の高配当株を買い増している事実は、配当・再投資のテーマとも相性がいい材料です。

ただ、逆風もあります。ここを見ないのはフェアじゃない。

すでに史上最高値圏で、6万6,000円台まで数日で急騰した過熱感があります。国際通貨基金(IMF)は2026年4月に世界経済の成長率見通しを下方修正しました。中東情勢などの下振れリスクを警戒しています。そして今の上昇は、地政学ニュースに左右されやすい。情勢が変われば巻き戻されます。

需給は下支えに働きやすい。でも、それを吹き飛ばすマクロの逆風もある。両方を天秤にかけて見るのが正直なところです。

初心者はどうする?新NISAでの向き合い方

初心者の新NISAでの向き合い方|積立継続・狼狽売りしない・配当再投資

では、新NISAでコツコツ投資している人は、この局面でどう動けばいいのか。

僕の答えはシンプルです。「季節性でタイミングを計らず、いつもどおり積立を続ける」。これに尽きます。

理由は2つあります。

ひとつは、季節性は当て続けられないこと。6月の勝率66%は「3年に2年は上がった」という話で、裏を返せば3年に1年は下がっています。プロでもタイミングを当て続けるのは難しい。「強いらしいから今だ」と大きく飛び乗るのは、いちばん危ない動き方です。

もうひとつは、高値圏での一括投資はリスクが大きいこと。毎月一定額を買い続ける積立なら、高いときは少なく、安いときは多く買えるので、買う値段が自然とならされます。今のような最高値圏では、この「ならし効果」がとくに効きます。

そして、下げたときに慌てて売らないこと。長期で持つつもりなら、下落はむしろ仕込み直すチャンスです。狼狽(ろうばい)売りは、損失をその場で確定させるだけです。

僕も投資を始めた頃は、最高値のニュースを見るたびに「乗り遅れる」と焦っていました。でも10年やってきて思うのは、季節性を読んで売り買いするより、積立を淡々と続けたほうが結果的にうまくいくということです。

ちなみに、この記事のテーマである「配当の再投資」という考え方自体は、長期投資の王道です。受け取った配当をまた投資に回すと、雪だるま式に増える複利が効きます。新NISAは運用益が非課税なので、長期の再投資とは相性がいい。市場全体が6〜7月にやっていることを、自分のポートフォリオでも続けるイメージです。

新NISAをこれから始める人は、まず「新NISAの始め方」を確認して、口座は手数料の安いネット証券で開くのがいいと思います。口座選びに迷うなら、初心者向けサポートが手厚い松井証券のようなネット証券から始めるのもひとつの手です。

6〜7月に注目される日程

2026年6〜7月の市場カレンダー|日銀会合・株主総会・配当支払いの注目日程

参考までに、2026年6月から7月にかけて市場で注目される日程を整理しておきます。

  • 6月中旬:米国の物価指数(CPI)や金融政策の会合。金利や為替に影響します
  • 2026年6月16日:日本銀行の金融政策決定会合。利上げの有無が焦点です
  • 6月下旬:株主総会の集中シーズン(3月決算の会社)。配当・還元策が確定します
  • 6月末ごろ:配当支払いのピーク。再投資マネーが流れ込む時期

これらはニュースで話題になりやすい節目です。ただ、繰り返しになりますが、こうした日程を狙って売り買いのタイミングを計るのは、初心者には難しいと僕は思います。「こういう資金の動きがあるんだな」と背景を知っておく程度で十分です。

まとめ

この記事のポイントを整理します。

  • 6〜7月に日本株が強いと言われる正体は需給。6月に支払われる配当(10兆円規模)の再投資で買いが増え、期末売りの一巡と総会通過で売りが減る
  • 投資信託は配当を自動で買い直すので、機械的な買いがこの時期に集中しやすい
  • 過去データでも6月の勝率は約66%と高い。ただし「7月以降は失速」が実態で、近年はこのクセも薄れている
  • 2026年はAI半導体・MLCC買いやバフェットの日本株投資が上乗せ材料。一方で史上最高値圏の過熱・IMFの下方修正という逆風もある
  • 初心者は季節性に賭けず、新NISAで積立を淡々と続けるのが安心。下げても慌てて売らない

「6〜7月は強い」という話は、仕組みを知っておくと相場の見え方が一段深くなります。ただ、それに飛び乗るのではなく、自分のペースで長く続ける。市場が配当を再投資しているのと同じことを、自分のポートフォリオでも淡々とやる。これが結局、初心者にとっていちばんの近道だと僕は見ています。

よくある質問(FAQ)

「日本株は7月まで強い」は本当ですか?

過去のデータでは6月の勝率が約66%と高く、6〜7月は強いと言われてきました。ただし正確には「6月が本番で7月は失速気味」が実態です。さらに近年はこの季節性が薄れており、毎年必ず成立するわけではありません。経験則として知っておく程度がよいでしょう。

なぜ6月に株が買われやすいのですか?

3月決算企業の配当(2026年3月期は過去最高の20兆円超の見通し)が5月下旬から6月末に支払われ、その一部がふたたび株に投資されるためです。とくに投資信託は受け取った分配金を自動で買い直す仕組みがあり、機械的な買いがこの時期に集中しやすくなります。

配当が株価を上げるって、どういう仕組みですか?

受け取った配当を再び株に投資する「再投資マネー」が買い需要になるからです。同時に、3月末に集中した期末の売りが一巡し、6月の株主総会で配当や経営方針が確定して様子見売りも減ります。買いが増えて売りが減る、この需給の改善が下支えになります。

「Sell in May」は日本株にも当てはまりますか?

そのままは当てはまりにくいと言われます。過去30年では11月末〜4月末の勝率が約72%、4月末〜10月末は約52%で、夏は相対的に分が悪い傾向はあります。ただし直近7年は夏の期間もすべて上昇しており、このクセは弱まっています。

今(史上最高値圏)は買わないほうがいいですか?

買う・買わないを一律には決められません。ただ高値圏で一度に大金を入れると下落時のダメージが大きいため、毎月一定額を積み立てる方法が初心者には向いています。買う値段がならされ、高値掴みのリスクを抑えられます。

季節性を使って売買のタイミングを計ってもいいですか?

初心者にはおすすめしません。6月の勝率66%は「3年に1年は下がる」という意味でもあり、タイミングを当て続けるのはプロでも難しいものです。長期・積立・分散を淡々と続けるほうが、初心者には合っていると見ています。

バフェットは日本株を買っているのですか?

バークシャー・ハサウェイは2020年から日本の5大商社株を買い続け、2026年時点でそれぞれ約10%を保有しています。2026年3月には東京海上ホールディングス株も新たに取得し、日本株への関心の広がりとして報じられています。

株価が下がったらどうすればいいですか?

長期投資が前提なら、慌てて売らないことが基本です。下落は安く買い直すチャンスにもなります。あわてて売ると損失が確定してしまうため、積立を止めずに続けるのが一般的な考え方です。

配当の再投資は新NISAでもできますか?

できます。受け取った配当や分配金をふたたび投資に回すと、複利の効果で増えやすくなります。新NISAは運用益が非課税なので、長期の再投資とは相性がよいとされています。

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この記事を書いた人

つよび

つよび
個人投資家(2児の父)・株式会社経営
    • 投資歴10年以上。FXから始め、2024年の新NISAを機に株式投資へ軸足
    • 日本株(ファンダメンタルズ+スイング)メイン・新NISA/米国ETF/投資信託も併用
    • 米国株の取引はmoomoo証券を中心に運用
    • YouTube「FireriF(つよび・よわび)」でリアルな投資判断を発信中

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最終更新: 2026年6月1日

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